リトルシェフ(栄養改善)プログラムで活躍する子どもたち

ラオス南部サラワン県では少数民族の子どもたちの栄養不良や発育不足が問題となっています。AEFAの現地パートナーNGOであるACDは「リトルシェフ」という栄養改善プログラムでこの問題に取り組んでおり、AEFAはこれをサポートしていく考えです。

会報39号ではプログラムの概要をお伝えしました。ここでは子どもたちの活動の様子や、現地ならではの活動内容について紹介します。

■ 栄養素チャート、日本とこんなに違う
■ 食物を育て、調理する - 学校菜園・養魚池
■ 地域イベントでリーダーになる
■ リトルシェフの歌をうたうラロ村の子どもたち
■ 希望の種をまく


栄養素チャート、日本とこんなに違う
子どもたちが栄養素について学ぶチャート図には、現地ならではの食材が描かれています。逆三角形の形は摂取量の割合を表しており、一番多いのは炭水化物です。

炭水化物 ラオスの主食であるコメ・モチコメのほか、さとうきび、バナナ、ココナッツなど。ココナッツの白い部分は栄養たっぷりで消化吸収が良いそうです。ぷるぷるしていてほのかに甘く、スプーンで削ってそのまま食べたり、汁粉状に煮て食べることも。

ビタミン 野菜とフルーツにわかれていて、パパイヤ、マンゴー、グアバ、タマリンドなど南国らしいフルーツが描かれています。茶色く熟したタマリンドはおやつ代わりにそのまま食べますが、若い青いものはとてもすっぱく、スープの味付けに使います。

タンパク質 肉や卵のほか、蛙やアリの卵など。蛙は森にとりにいくほか、養殖することもあります。アカアリの卵は栄養豊富な珍味で、サラダや炒めものやスープにして食べます。アカアリは、成虫をそのまま食べることも。酸味がありおいしいそうです。

ミネラル(無機質) 日本では牛乳や小魚、海藻などがこの分類に該当しますが、ラオスのチャートには色々な種類の昆虫が描かれています。子どもたちはチャートを指さしながら「この虫は、土を掘ると出てくるよ!」「つかまえたことある!」と口々に元気に発言していました。


食物を育て、調理する ― 学校菜園・養魚池
学校に菜園と養魚池をつくり、子どもたちは野菜や魚(なまず)の育て方を学びます。魚のエサも、バナナの木(茎)、乾燥したキャッサバ、米ぬかなど、地元で手に入るもので作ることを学びます。子どもたちは、

「(川で捕まえるのではなく)魚をそだてるのは初めてなので、とても楽しいです。毎日えさをやりながら、どれだけ大きくなったか見ています。」
「魚の育て方を、村の皆にも教えてあげたい。」
「お魚と唐辛子とネギでジェオ(ディップのようなもの)を作って、ごはんにつけて食べるのが大好きです。」

と、養魚池での活動をとても楽しんでいるようです。

育てた野菜や魚を使って、調理実習も行います。どう調理すれば栄養を効率よくとれるかを学び、その土地でとれる旬の食材や、多様な食材を使うことを学びます。

リトルシェフプログラムには衛生活動も含まれます。きれいな水場、清潔な鍋や皿を使うことを学ぶほか、手洗い・歯磨き・洗髪指導、週2回の虱とり、週1回のつめきりを習慣づけています。


地域イベントでリーダーになる
子どもボランティアは、自分たちが学んだことを保護者や年少の子どもたちに広げていきます。たとえば、旬の食材を使った料理の作り方を説明するイベントを行い、大人たちも知識を広げていきます。

手にはいりにくい食材を、プロジェクトから支給することもあります。子どもたちは支給された油や卵や砂糖や小麦粉を使って、かぼちゃのライススープやスチームエッグ(茶碗蒸し)などの栄養たっぷりの料理を作ります。

「バナナのフリッター(揚げ菓子)は、もうこれまでに何回も作ったから上手に作れるよ!」と、できたて熱々をおいしそうにほおばっていました。子どもたちの活動を保護者も笑顔で見守り、栄養について関心をもつきっかけとなっています。


リトルシェフの歌をうたうラロ村の子どもたち
リトルシェフプログラムは、子どもたちが楽しく学べる工夫がされています。参加している子どもたちはとても楽しそうです。

ラロ村の子どもたちも、リトルシェフで教わった歌を身振り付きで楽しそうに歌っていました。


希望の種をまく
リトルシェフを導入している山岳部では、近年、道が切り拓かれ、橋もかけられてとても便利になりました。土地も開拓されバナナやキャッサバのプランテーションが増えています。一方で、これらの開拓により森が減少し、ただでさえ少ない耕作地がさらに圧迫され、気候変動の影響も加わって、森で食物を採取したり農業で生計を立てたりしていた少数民族は苦境に立たされています。栄養価の高い食物を購入する経済的余裕がない中で、長時間の肉体労働と家事に従事する女性や子どもたちの栄養不足・健康問題は特に深刻です。この問題に対しACDは、リトルシェフプログラムで活躍する子どもたちとともに、食物と、希望を育てています。このプログラムや現地の子どもたちを応援したいという方はぜひAEFAまでご連絡ください