タイ・ファイコン小中学校 ~ カレン族の伝統と文化を大切に

2001年 タイ北部の山奥 ”馬の背学校”の誕生

タイ北部古都チェンマイから、連なる山々を分け入り約5時間。まるで馬の背のような細い尾根に、ファイコン校は建てられています。2001年の創設以来、熱意あふれるプーシット校長先生が村の家々を廻って子供を学校に通わせるよう話をしたり、教育局や行政にかけあって教員の増員を要請したり、少しずつ資金をためて資材を買い、仮校舎を手作りしたり努力を続けてきました。しかし、2007年AEFAが初めて訪れた際には未だあらゆるものが不足。校舎だけでなく、寄宿舎、食堂、台所、水タンク、トイレ、食器、食料、文具、衣料・・寄宿舎では着る物が一枚しかなく、皮膚病になっている子も。
これらを総合して、土地造成も含むマスタープランを作成、3年計画で総合的建設プロジェクトが始まりました。
2009年12月、「アジアの子供たちに学校をつくる議員の会」の支援により、3教室の小学校新校舎が完成。安倍元総理(当時)を迎えて開校式が開催されました。
同年、中学課程も開設。小学校修了後、中学がないために休学していた子供たちが学校に戻ってきました。

山奥の子供にも教育を!~先生方・NGOスタッフの熱意

寄宿舎やトイレ、台所などの整備も進められ、1-2年生56人から始まったファイコン校は、現在近隣8か村からの小学校~中学生約400名が学んでいます。食事当番は、まだ仄暗い4時起きで朝食の準備です。次世代を担う中学生達は「自分たちがこの地域をよくしていくのだ」という自覚と責任感の下に勉学に励むと共に、小さな子供たちの生活の面倒を見ています。「山間部の教育機会に恵まれない子供たちに尽くしたい」との想いから赴任した先生方も、廃材などを使って家を手作りして住み込み、24時間体制で子供を見守っています。現地NGOスタッフも単身赴任で村の発展プロジェクトを支援するほか、高校課程が出来るまではと、中学を修了した生徒を預かって指導しながら、学校プロジェクトも応援しています。

もっと学校をよくするために

ファイコン校は、先生も生徒も殆どが山岳少数民族カレン族。学校では、タイの暮らしに適応できる基礎的な学力と生活力を身につけると共に、少数民族であることの誇りを大切にしています。村人やNGOスタッフから、農業(野菜・果物・コーヒー栽培など)・養豚・養魚など生活に役立つ技術を学ぶほか、カレン族伝統の生活・文化を大事にする教育(手織物・カレン語・民族音楽など)が行われています。また、近隣校との協働で、環境教育と自然資源保全のための活動〔チェックダムの設置や、ワークショップ開催など)も。ファイコンを中心とした近隣校とのネットワークで、地域全体の教育の底上げとなっています。

2012年、いわき市の中学生が「タイに学校を作る」プロジェクトを発足。ファイコンの中学生のために3室の校舎を建設中です。